【取材】「あなたの一歩が地域を良くする」~住民主体での支え合い~

「あなたの一歩が地域を良くする」~住民主体での支え合い~
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小林 キミ Kimi Kobayashi 有償ボランティアはまなす代表。自身が大変な時に様々な人から支えられた経験が活動の原点となる。 |
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平田 春樹 Haruki Hirata 中央区関屋・白新圏域支え合いのしくみづくり推進員。様々な人と協力しながら住民主体の活動を支援する。 |
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要支援や要介護の認定を受けている方、日々の暮らしの中で困りごとを抱えている高齢者の方などを地域で支援しようと、ボランティア団体が立ち上がっています。 ゴミ出しや草取り、買い物の代行や付き添いなど、様々な困りごとを支援しているのは、福祉専門職ではなく同じ地域に暮らす住民です。 今回、中央区の関屋・白新圏域で生活支援の活動を行う「有償ボランティアはまなす代表の小林さん」と団体の立ち上げ時から活動をサポートしている「関屋・白新圏域支え合いのしくみづくり推進員の平田春樹さん」に取材させていただきました。 |

有償ボランティアはまなす代表の小林さんのご自宅で取材をさせていただきました。
地域活動への参加と健康増進とを結びつけて人材を探す。
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―どのような経緯ではまなすが立ち上がることになったのでしょうか? 平田さん:私がこの圏域の支え合いのしくみづくり推進員になったのが令和4年度です。この圏域における生活課題の把握を進めていく中で、生活支援を行う体制が不足していること、当時はコロナ禍ということもあり高齢者の方が運動する機会を失い、体調を崩されるケースが増えていることがわかってきました。
―圏域の生活課題の把握から始めたのですね。 平田さん:まずは、運動の機会を確保するために、助成金の有無に関わらず自主運営できる運動教室やサークルを作ることを計画しました。専門職の方々の協力を得て、最初に鏡淵地区で運動教室を立ち上げ、それから圏域内で順々に運動教室が立ち上がっていくことにつながりました。
―そこからどのようにはまなすの立ち上げにつながったのですか? 平田さん:生活支援の活動を担ってくれる人材はどのような人なのかを考え、この運動教室に参加している方々に注目しました。参加者のみなさんは健康意識が高く、講義も熱心に聞いてくれている印象があり、こうした方々が地域活動に参加することで、さらなる健康増進につながると思ったからです。そこで、運動教室の参加者を対象に、地域での支え合いのしくみや、介護保険では対応できない困りごとを抱えた方が実際に地域にはいるという現状を伝えるための、説明会を開催することにしました。
―説明会に参加された方々の反応はいかがでしたか? 平田さん:地域で支え合うためのボランティア団体を立ち上げたいと提案したところ、手を挙げてくださった方の中に小林さんがいたのです。その後に、具体的な準備のための会議を開催していくのですが、団体を継続していくためには、活動のコーディネートや経理などの事務的な部分を中心的に担ってくれる人が不可欠です。1回目の会議で出席してくれた方に「担うことはできないか?」と打診をしたのですが、「活動には参加したいが、中心となって役割を担うのは難しい」という反応ばかりでした。
―そうだったんですね。 平田さん:実は小林さんはその第1回目の会議は都合により出席できなかったんです。でも、小林さんからは事前に「もし会議で誰も引き受ける人がいなければ、私がやります」と言っていただいていたんです。そのため、私としても、もし会議で誰も引き受ける人がいなければ小林さんにお願いしようと考えていました。ですので、改めて会議の状況を小林さんにお伝えして、代表として中心的な役割を担っていただくことになりました。 |
自分ができる範囲で地域に関わりたい、その思いで一歩踏み出す。

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―代表を引き受けたのはどのような思いからだったんでしょうか? 小林さん:私が代表を引き受けた大きな理由は、自身の経験にあります。主人を亡くして一人暮らしになり、その後に自分自身の病気も経験しました。その際に、周囲の方々からお世話になり、助けていただいたおかげで今の自分があります。一度は諦めかけた人生でしたが、元気になった今、自分ができる範囲で地域に関わりたい、恩返しをしたいという思いが強くありました。
―そういう思いからだったんですね。 平田さん:小林さんはご自身が周りの方々に助けられた経験を大切にされていて、自分ができることをお手伝いしたいという強い思いで活動されています。今では、利用者の方から「小林さんのおかげで助かっています」という言葉をかけられるほど、地域にとって欠かせない存在となっています。小林さんに代表をお願いして、本当に良かったと感じています。
―活動を始めるにあたって不安はなかったのですか? 小林さん:実は最初は「有償ボランティア」というお金が関わってくることに戸惑いを感じていました。一緒に賛同していた友人もその点に抵抗を感じていました。でも、平田さんに詳しくお話をお聞きする中で、依頼者の方にとっても無理のない負担の料金設定であることを知り、それならば大丈夫だと納得して参加を決めました。
―実際に活動してみていかがですか? 小林さん:現在、はまなすの活動には6つの項目がありますが、依頼内容と活動項目の線引きが難しいケースもあり、私の性格上、線を引くというよりも、つい踏み込んで対応してしまうことがあります。そういった部分は、スタッフ会議で検討したいと考えています。 |
待ってくれている人がいることが、私の元気の源。

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―活動を続けてきた中で課題と感じていることはありますか? 小林さん:やはり担い手不足が課題となっています。最近、テレビ放送などの効果もあってか2名の方から問い合わせがありました。少しずつでも新しい方が入ってくだされば助かります。
―今後この活動をどのようにしていきたいと考えてられますか? 小林さん:私個人としては、かゆいところに手が届くような活動を続けていきたいと考えています。最近は依頼が増えていますが、活動できる方の状況によっては、心苦しいのですがお断りせざるを得ない場合もあります。
―担い手が増えれば、そうしたニーズにも対応できるようになるかもしれませんね。 小林さん:月の活動件数は全体で200件ほどにのぼります。メンバーは約30名ほどいますが、すべての方が生活支援の活動に関わっているのではなく、他の取り組みとして行っている運動教室や夜の茶の間のサポートが主な方もいます。ですので、動ける人が増えてくれると助かります。また、はまなすの活動範囲が広域に渡るため、各地域に担い手がいてくれることが理想です。
―それだけの件数を毎月対応するのは大変ですね。 小林さん:私自身もコーディネートの活動だけでなく、ゴミ出しや掃除など生活支援の活動を担っており、なかなか休みがないこともあります。周りの人から「そんなに活動して疲れないか」と言われることもありますが、待ってくれている人がいることや、行く場所があることが私の元気の源になっています。 |
「自分にできることを、できる範囲で」始めてみる。

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―コーディネートや活動の際に大切にしていることはありますか? 小林さん:まずは、相手の方をよく把握することです。ですので、実際にお会いして、相手の話をじっくり聴くようにしています。一人暮らしの方は話を聴いてもらうだけで安心されることも多いので、まずは受けとめることを心がけています。専門的な勉強をしたわけではありませんが、自分のできる範囲で精一杯対応しています。
―とても大事なことですよね。 小林さん:実際にお会いすると大変さがよくわかるので、なるべく断らないようにしたいと思っています。周りからは断ることも大事だと助言されるのですが、もし自分が断ったら、この方はどうなってしまうのかと考えてしまうと断りづらく、体が2つほしいと思うこともあります。
―最後に、これからボランティアを始めたい方へのメッセージをお願いします。 小林さん:自分にできることを、できる範囲で始めてほしいです。利用されている方からの「ありがとう」という言葉は大きな励みになります。一つでも自分にできることがあれば、ぜひ連絡をいただきたいです。生活支援の活動だけでなく、運動教室や夜の茶の間など、関わり方も様々にあります。
【ボランティア活動したい方の問い合わせ先】 有償ボランティアはまなす 電 話:090-4191-6965(代表小林さん、9:00~16:00) |

